アニメスタジオの売上高、初の4000億円台 前の年比1割増 民間調査
【東京本局 = エンターテインメント】帝国データバンクが19日発表した「アニメ制作市場」動向調査によると、2025年の国内アニメ制作業界の市場規模は事業者売上高ベースで前の年比9.9%増の4065億円となり、初めて4000億円を超えて過去最高を更新した。伸び率も前年の4.9%から加速した。ただ、アニメーター不足で制作現場の処理能力は限界に近く、26年は21年以来5年ぶりに前年を下回る可能性がある。
市場規模は帝国データBの事前予測(4000億円超)に一致した。

テレビ放送からネット配信への需要シフトが引き続きみられた。米ネットフリックスなど配信プラットフォーム向けの引き合いが旺盛だったほか、劇場版など大型案件の納品が重なり、元請・専門スタジオともに案件量が豊富だった。二次利用を含むライセンス(IP)事業が好調だったことや、製作委員会への出資を通じた二次収益の還流も収益を底上げした。制作会社1社当たりの平均売上高は13億3700万円と5年連続で増加し、集計可能な2000年以降で最高となった。
業績動向では増収企業が39.7%と、21年以来4年ぶりに4割を割り込んだ。一方で横ばいが39.7%と過去10年で最高となり、減収は20.5%と01年以降の最低にとどまった。損益面では増益が45.7%と4年連続で4割を超えたものの、赤字企業も34.6%を占めた。受注額は増えているものの、コスト上昇を補えない状況が続いている。
人件費や外注費の高止まりに加え、円安定着による海外外注費の高騰も利益を押し下げている。映像の高品質化で制作工程が高度化し、納期が長期化したことで、売上の計上が翌年度にずれ込む「期ズレ」が多発していることも拍車をかけている。品質の担保や労働環境の改善を優先し、あえて受注を制限する動きも出ている。
制作態様別では格差が広がる。元請・グロス請の平均売上高は27億9500万円と5年連続で増加し過去最高となった一方、下請にあたる専門スタジオは4億9900万円と2年連続で4億円台にとどまった。専門スタジオの赤字比率は41.3%と前年の37.0%から上昇しており、自社の稼働人員数が売上高の上限となりやすい構造的な弱さが浮かぶ。
海外企業との取引が判明した企業の割合は41.8%と、前年の45.2%から3.4ポイント低下した。取引先の所在国別では米国が21.2%で最多。中国は13.2%で、23年をピークに低下傾向が続く。中国国内の「国産アニメ」需要拡大でアニメーターやCGスタッフの獲得競争が激化し、外注単価が上昇したうえ、円安も重なって低コストの発注先としての魅力が薄れているとみられる。韓国が10.1%のほか、ベトナムやフィリピンなど東南アジア向けの取引も目立った。
26年7月時点の国内アニメ制作会社は304社で、前年調査から11社増えた。

