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延期に次ぐ延期でようやく発売…WF-1000XM5レビュー。2週間使ってみての感想。

namiten

【旧東京総合 = テクノロジー】6月12日までに発表、23日までに発表、ストアページ発見…

発表会を開催する必要性がわからないほどにリークも出尽くしてしまっていたWF-1000XM5。リークされた発表日時はいずれもSONY側にトラブルがあり延期された(らしい)。

「WF-1000XM4の後継機は6月初旬に発表!」とリークされた時、筆者はソシャゲのガチャでSSRを5体同時引きくらい興奮していた。2年ぶりにようやく、ようやく来るのかと。

「12日(6月)までに発表か〜Amazon予約しないと!」とか言っていたのが懐かしい。夏も終わり、秋に突入している。

この記事では、延期に延期を重ねた(勝手にリーカーが予測してただけ)WF-1000XM5を実際に2週間使ってみた感想とAirpodsなどとの比較をお話ししたい。

結論、WF-1000XM5はあまりオススメしない。もうすぐ新製品が出るであろうBOSEや最大の敵とも言えるテクニクスとしっかり比較して、自分好みの製品を選ぶべきだと思う。ブランドごとの性能差や機能差はもはや誤差の範囲だ。

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WF-1000XM5の進化点

おそらくこの記事を読んでる読者は、リークで焦らされまくり調べ尽くしていると思うの軽い紹介だけで済ませることにする。進化点は次のとおりだ。

主な進化点
  1. ドライバー大型化で音質が向上
  2. ノイズキャンセリングが強化
  3. 小型化で装着感向上
  4. LC3に対応
  5. 充電速度の向上

早速、WF-1000XM4と比較していこう。

旧世代との比較

まず旧世代のWF-1000XM4と比較してみよう。発売当初から神機種と言われ、発売から2年が経っているにも関わらず、いまだに売れ筋ランキングでTOP10の常連だ。価格も安く、現在は2.3万円前後で購入できる。

WF-1000XM5WF-1000XM4
ドライバー直径8.4mm直径6mm
ノイキャン最高水準(↑20%)最高水準
ハイレゾ対応対応
重量5.9g7.3g
対応コーデックSBC
AAC
LDAC
LC3
SBC
AAC
LDAC
バッテリー(ケース含む)6時間(24時間)6時間(24時間)
充電時間3分で1時間5分で1時間
発売2023.9-2021.6-
値段¥41,800¥29,000前後-
モバイルの場合、横にスクロールできます。

音質

WF-1000XM4も音質は十分良かったのだが、WF-1000XM5はドライバーを大型化することでさらに音質を向上させている。音質の詳しい比較は他社様に任せるとして、個人的に軽く付け替えながら使ってみた結果、ドライバーの大型化の恩恵を最大限に活かしている形で、曇りがない音に変わっていた。音の特徴としては、良くも悪くもSONYらしい安定したバランス型。低音をやたら強調することもなく、高音も安定している。個人的な用途としては十分だった。

  • 音質は明らかに向上し、音の幅が広がった。
  • WF-1000XM4と同じ、SONYらしいバランス型

ノイキャン

WF-1000XM4の時点で最高性能だったノイズキャンセリングも大幅に強化された。

技術的な説明はあまり好きではないのだがSONY曰く、前モデルから搭載された統合プロセッサーV1がV2にアップデートされた上に、WF-1000XM3以来のノイズキャンセリング専用のチップも搭載(高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e)。さらにマイクも4つから5つに増えたほか、ノイズ低減用のイヤーチップも性能が向上しており、ただでさえ高性能だったWF-1000XM4比で20%もノイキャン性能が向上しているとかなんとか。

SONYと電子情報技術産業協会が、ノイキャン性能が高い上位10の他社製品とWF-1000XM5を比較したところ、WF-1000XM5が最も性能が高かったという、まさに「お墨付き」である。

ノイズキャンセリング性能の比較。特に低音域で違いが見られるという。
(SONY公式ホームページよりURLリダイレクト)

説明をしておいてなんだが、Airpods Pro(第二世代)やBOSEと比較してもほとんど差がわからないだろう。どのモデルも日常生活で発生する騒音を9割カットできているからだ。ノイキャン性能だけを当てにして4万円もSONYに課金するのはリスクが高いと感じる。今の時点で不満がある人だけが買うことを推奨したい。

確かにM4と比較した感じ、若干ではあるもののWF-1000XM5の方がM4よりノイズを低減できている感じがする。Airpodsとも比較した。個人的にAppleのパワーでかき消す感じはあまり好きではないので、自然にかき消してくるSONYの方が好みだった。

  • 高性能チップにアップデートされノイキャン性能が「世界最高」
  • 低音域において前世代より最大20%性能が向上している

マイク性能

個人的に嬉しかったのはこれ。去年発表されたLinkBudsシリーズに搭載されていた驚異的な「声を分離」が当機種にもやってきた。何億というノイズサンプルをAIに学習させることで驚異的なマイクノイキャン性能を実現した。

通話中に電車や車の音などの騒音をほとんどカット。それでいてマイクの音質もワイヤレスイヤホンの中ではかなりいい。
試しに電車に乗りながら録音をしてみたのだが、電車の自動音声を完璧にカット。走行中の音も全く入っていなかった。

最近はオンライン会議や電話が多くなったので、これはかなり嬉しい進化だった。

しかし、外音取り込み機能は相変わらず微妙。Airpodsの圧勝だった。M4から不満だったので、改善されなかったことに少しがっかりしている。

  • マイクが最高性能。風切り音や環境音を完璧にカット
  • ただ外音取り込み機能はほとんど改善されていない。微妙。

その他の変更点

他にもいくつかM4から変更されている点があるので軽く紹介したい。

  • 小型化
  • デザインの変化
  • マルチポイント
  • ヘッドトラッキング
  • コマンドの増加

と言った感じだ。個人的に一番変化を感じたのが音声アナウンス。前までは設定に飛んで一々オフにしないといけなかったのだが、今回は基本的にアナウンスはなく、「ちゃらら〜ん」とか「ちゃらん」的な感じの音で判断する感じだ。

小型化により装着感が向上。
旧世代の課題である重さを克服し、風切音も低減された。

Spotifyなどを呼び出す機能も追加された。設定したタッチコマンドを入力するとSpotifyなどの特定のアプリが動作する。Spotifyの場合はおすすめの曲を自動で再生を開始する。他にも4回タップなどの機能も追加されたりもした。

結論

WF-1000XM4と比較した結論としては「期待したほどではない」と感じた。異論は大量にあるかもしれないが、2年待った上に、円安の影響もあるとはいえ通常価格が4万円に乗せている。

2ヶ月くらい焦らされた影響もあるかもしれないが期待値が高すぎた。外音取り込み機能やバッテリー持ちなど長期的に使っていく上で重要な機能の進化が乏しい。ノイキャンもBOSEの方が若干上と評価するサイトやYouTuberも出てきてしまっている。

ただし、期待値と値段を無視して考えるとすれば普通にすごい。これだけの進化をしておいて軽くなりつつ、小型化し、バッテリー持続時間も維持しているのだから。

他社との比較

次に他社と比較していく。今回は値段も近いテクニクスとAppleだ。BOSEはもうすぐ新型が出るらしいのでその後でゆっくり比較したい。

AirPods Pro(第二世代)との比較

まずはAppleとの比較だ。後で少し話すが、Appleはブランド力で勝負しているため、性能面で他社と比較するのはあまり適していない。

WF-1000XM5AirPods Pro(第二世代)
端子Type-CLightning(ゴミ)
ドライバサイズ直径8.4mm11mm
ノイキャン性能業界最高性能旧型比2倍
ハイレゾ対応非対応
重量(片耳)5.9g5.3g
対応コーデックSBC
AAC
LDAC
LC3
SBC
AAC
バッテリー(ケース込み)6時間(24時間)6時間(30時間)
発売時期2023.9-2022.9-
価格¥41,800¥39,800-
モバイルの場合、横にスクロールできます。

比べるまでもない。WF-1000XM5の圧勝である。lightningの時点で、仮に耳かき機能がついていようが、どんな革新的な機能がついていようがゴミ。目の前のライセンス料に目が眩んでしまったApple様の製品とType-C搭載製品を比較するのはSONY含め他のメーカーに失礼である。AppleさんにはさっさとType-Cを搭載していただきたい。
まあ、私がType-C信者なだけなので、Lightning端子だろうとどうでも良いという方の方が多いだろうから他の項目でも比較しよう。

単純に「イヤホン」としての性能は言わずもがな、SONYの圧勝。音質含めSONYが優秀。重量はAirpodsの方が軽いが、逆にインナー型のAirpodsにここまで重量で迫れているのはさすがSONYとしか言えない。ドライバサイズはWF -1000XM4の方が小さいが、そもそも形状が異なるので単純比較は不能。バッテリーはAirpodsの圧勝だ。ノイキャンは比較しようがない。どちらも強すぎるので好みの問題だ。
価格はどちらもほぼ同じ。円安の影響でどちらも前世代から1万円以上値上がりしている。結論としては性能面で比較が難しい、好みで選ぶ領域といった感じだろうか。

好みで選ぶならば

前述の通り、Appleとその他のメーカーを性能面で比較するのは不適切だ。

例えば今回の比較では、見てわかる通り性能面ではSONYの圧勝だ。しかし、Airpodsは常に売上ランキングのTOP3を牛耳っている。なぜか。答えは至って単純だ。AirPodsは「Apple」というブランドだけで、4万円の価格をユーザーに納得させ、その値段の低い性能を飲み込ませているからだ。イヤホンなんて「使えればいい」というライトユーザーが重視するのはブランド力と安心感だ。

「とりあえずAppleにしとけば間違いない」というAppleというブランドは安心と信頼の象徴だ。特にAirpodsにはあの虫に齧られたりんごマークもついていない。それにもかかわらず、売り上げランキングの前でSONYはAirpodsを前に屈するしかない。

SONYもAppleも営利企業だ。極論売れた方の勝ちである。ガジェット的な目線は一旦おいといて、市場で評価されるのはAirpodsだ。もし今音質を気にせず、iPhoneを使っていて、東京に住んでいるのならばAirpodsを選んだ方がいいかもしれない。

Technics EAH-AZ80と比較

次にテクニクスとの比較。先ほどのAppleの比較とは違い、ここを気にするのはガジェオタか性能厨、音質を気にするユーザーだろう。個人的には総合力でSONYの勝ちだと思った。

WF-1000XM5Technics EAH-AZ80
ドライバサイズ直径8.4mm直径10mm
ノイキャン性能業界最高水準(100/100)高い(75/100)
ハイレゾ対応対応
音質バランス型高音が綺麗
重量5.9g7.0g
バッテリー(ケース込み)6時間(24時間)4.5-7時間(16-24時間)
マルチポイント2台まで3台まで(LDAC非対応)
価格(Amazon)3.8万円前後3.7万円前後
モバイルの場合は横にスクロールできます

比較項目を少しだけ変えてみた。前提として、こいつらはワイヤレスイヤホン界の2強である。違いはほぼないと考えていただいて構わない。

まず、ノイズキャンセリング性能。これはWF-1000XM5が最強を謳っているだけあって圧勝だった。外音取り込み機能は個人的にTechnicsの方が上だと感じる。ただマイク性能(ノイズ除去)はWF-1000XM5の方が上だった。

音はWF-1000XM5が先ほども言った通りバランス型に対して、Technicsは遊び心があるというか、伸びがいいと表現できる気がした。あくまで個人の感想だが、WF-1000XM5の方が好き。音質はTechnicsの方がいいと思った。

バッテリーや重量はWF-1000XM5の方が上。ただマルチポイントはTechnicsが最大3台まで接続できるという強みを持っているので、例えば仕事用PCと個人用携帯にプラスしてタブレットや個人PCに接続できるので、選択肢が増えるだろう。

まとめると、音質や音はTechnics、機能面、重量面ではWF-1000XM5といったところだろうか。定価で比べるとTechnicsの方が4000円程度やすいものの、9/12現在、WF-1000XM5がAmazonで9%OFFで購入できることから値段は誤差の範囲だ(記事下にリンクあり)。そもそもこの2つを購入候補に入れている人は多少の値段の差など気にしないだろう。

あくまで私は外でも中でも常に使うため、バッテリー持ちが良く、機能面で優れるWF-1000XM5の方が好みだが、家でしか使わず、音質にトコトンこだわる人は、YouTubeで上がっている比較動画や、家電量販店で聴き比べしてみることを推奨する。

WF-1000XM5発売で感じてしまったこと

最近、ガジェット市場の成熟化が進んでいると思ってしまう。分かりやすく言うならば成長が止まってしまった、ワクワクしない。

WF-1000XM5やTechnicsは、完成度が完璧だ。ワイヤレスイヤホンは、成長しきってしまったのではないか。人間が判別できる性能の限界に達してしまった。

AnkerやEarfunといったコストパフォーマンスに優れたメーカーも市場に現れた。こういったメーカーはライトユーザー向けに高性能な製品を手頃な価格で提供しながら、こだわりの強い人には特定の企業の製品を使う(例えばSONYは性能に、Appleはブランドに)。このように、高い製品と安い製品でそれぞれ競争し中間層がなくなるという構造は、成熟した市場でよくみられる。それぞれ「ブランド力」や「コスパ」といった既得権益を獲得してしまった企業が出尽くし、新規参入が難しくなった今の構造は、市場の「オワコン化」を意味するのではないか。ついに、ワイヤレスイヤホンすら、その領域に達してしまった。

このような「成熟化」は、他でも多く発生している。スマートフォンもその一例だ。
iPhoneは、デザインはほぼ変化なし、ほぼ完璧に近い「カメラ」のアップデートをするなどの「マイナーチェンジ」が続いている。初登場から既に16年以上が経過したiPhoneは、「完璧で究極」になってしまった。16年の間に競合と激しくぶつかり合ったからこそ、ユーザーが求める機能が既に満たされた。パソコンのCPU市場と違って、Apple一強という形が作られず、さらにはAppleの強い「こだわり」を求める性質が、スマホ分野の成長を止めることなくここまで来ることができた。パソコン用CPUは最近頭打ちになりつつあると感じるものの、初登場から何年経っているだろうか。2008-2016年の間、ほとんど成長がなかった。intel一強の時代を作ってしまったからこそ、マイナーチェンジが続いた。これからはスマホ市場もイヤホン市場もPC用CPU市場もシェアの取り合いという泥臭い戦いが始まる。値段かブランド力かを取り合うつまらない市場だ。

壊れるまで使おうと思うようになったものは、成長期を終え、成熟期に入ったと私は考える。筆者的にワイヤレスイヤホンも、その仲間入りを果たしてしまった。限りなく完璧に近づいている現状は嬉しい反面、これ以上の進化を見ることができないと考えると、どこか寂しさも感じる。

ノートパソコンやコンパクトカメラ、スピーカー、スマホなど、多くの分野でこう感じてしまう。こう言った「ガジェット」は長く我々を楽しませてくれた。彼らには感謝しかない。が、一方で技術革新のスピードが遅くなることも否めない。

価格競争が始まってしまえば、その辺に売っているスナック菓子と同じである。湖池屋のポテチは高いが豪華、カルビーは安いけど普通に美味しいし、むしろこっちが好みという人もいるだろう。ワイヤレスイヤホンも含め、そういう扱いになっていくのではないか。技術や真新しい機能で争うのではなく価格で争う、ブランドで争う。これは、全ての市場においての終着点だ。

そろそろ、世界中を「あっ」と言わせたiPhoneのような製品が出てきてもいい頃ではないか。

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