SBG、AIに10兆円規模投資へ 独自半導体・データセンター建設
【東京総合 = テクノロジー】ソフトバンクグループ(SBG)がAI分野に10兆円の巨額投資を計画していることが分かった。日本経済新聞が12日付朝刊で報じた。投資計画は、SBGの孫正義氏が掲げる「AI革命」の中核になる。
SBGはまず、AI向け半導体の開発・製造に乗り出す。設計は英半導体大手のアーム社内に新部門を立ち上げ、数千億円規模の資金を投じる。製造ラインはすでに台湾積体電路製造(TSMC)などファウンドリから取り付けた。近年一般化してきた自社で生産ラインを持たないファブレス方式を採用し、令和7(2025)年秋までの量産体制確立を目指す。AI半導体市場は今後数年の間で急成長するとみられ、シェア獲得を狙う。AmazonやGoogleなども自社で独自でチップ開発を開発している。ビッグテックと呼ばれる外資に対抗するため、巨額の資金投下が必要になる。
自社開発の半導体は、令和8(2026)年以降の建設を予定している大規模データセンターで活用する。データセンターは欧米やアジア、中東など世界各地に建設する。環境規制なども睨み、太陽光や風力を中心とした再生可能エネルギー発電にも進出。膨大な電力が必要となるため、将来的には核融合発電など次世代技術の活用も視野に入れる。
加えて、産業用ロボットの製造にも乗り出す方針を固めた。サウジアラビアの政府系ファンドの傘下企業と提携し、本格的な生産体制の構築を進める。
一連のAI関連投資には、SBGが数兆円規模の自己資金を投入すると日本経済新聞は報じている。さらに中東の政府系ファンドなど外部の投資家からも出資を募り、合計10兆円規模の資金を集める計画だという。
孫氏は、AI分野で独自路線を進める世界の巨大IT企業とも協調関係の構築を模索している。半導体の設計図の提供やインフラ面での連携を通じ、競合ではなく持ちつ持たれつの関係を築く。