三井住友、Oliveに最上位ランク SBI・SMBC日興と連携、特典充実
【東京本局 = 経済】三井住友は26年春からSBIなどと連携して、総合金融サービスの「Olive」で最上位ランク「Olive Infinite(オリーブインフィニット)」の提供を始める。国内で初めてVisaの最高ステータス「Visa Infinite」を採用し、メタルカードや最大11万円相当の継続特典、コンシェルジュデスクなどを充実化する。SBI証やSMBC日興と連携し、カード積立や投資助言を強化する。Oliveは若者へのリーチを進めてきた一方、富裕層の開拓は遅れていた。新サービスは富裕層向けの特典を充実化させる。

SBIと三井住友の両グループは20年の業務提携以降、「デジタルとリアルを融合させた金融サービス」の高度化を目指してきた。三井住友カードとSBI証券の投信積立サービスは月間積立額が850億円を突破し、近く年1兆円を達成する見通し。インフィニットではSBI証券でのカード積立で最大6%を還元する。富裕層への営業も進めて、若者へのアピールと合わせて両輪でさらなる規模の拡大を目指す。
新サービスではSBI証券の利便性の高いネット証券機能に、SMBC日興と三井住友銀の銀行員と相談できる機能を組み込む。取引は三井住友銀のアプリで完結できるようになる。24時間対応のAIチャットに加え、顧客が選択したアドバイザーとチャット・電話・ビデオ通話で相談できる体制を整える。Olive LOUNGE等での対面相談も可能とし、幅広い顧客ニーズに対応する。

両グループは25年7月をめどにグループ会社も巻き込んで準備会社を設立する。出資比率は三井住友系が60%、SBI系が40%となる。
Olive Infiniteは下位ランクと異なり、プラスチックではなくメタルカードを採用した。ユーザーの所有欲を高める。プライオリティパスの空港ラウンジ利用、美術館や高級料亭への招待やサッカーやスポーツの世界大会のチケットなど、VISA Infiniteの特典が利用できるようになる。マネーフォワードと連携した資産の見える化機能も強化し、他行・他社を含めた総合的な資産管理を支援する。VISA Infiniteの提供は一般申し込みが可能なサービスとしては国内初となる。

SBIは5月、NTTと資本業務提携すると発表した。住信SBIネをグループ会社のNTTドコモが収める。SBIには三井住友も8%前後出資して筆頭株主だ。NTTはグループにマネックス証を抱える。三井住友としては業務が重複するSBI証をOliveに取り込みたい考えだ。
Oliveは4月、PayPayの残高を使って支払いできるようにすると発表した。垣根を越えて外部サービスを呼び込み、ユーザーを「Olive経済圏」で囲い込む。競合では三菱UFJがメインバンクとしては初めてネット銀を設立すると発表している。金融業界の再編が一段と進む。