「売上高と同等」の最終赤字抱える横アニ、アニメイト傘下が買収 『ささ恋』など制作
【東京本局 = エンターテインメント】アニメイト傘下のフロンティアワークス(東京・豊島)は5日、テレビアニメ『ささやくように恋を唄う』などの制作で知られる横浜アニメーションラボ(横浜市)を買収したと発表した。買収金額は非公表。
横アニは24年5月期の税引き損益が92億円の赤字に転落している。同期の売上高は前の期比21%減の95億円で、売上高と同等の税引き赤字を抱えており、厳しい財務状況が続いていた中で、制作能力の確保を急いでいたアニメイトが助け舟を出した形だ。

帝国データバンクが24年5月期の財務情報をもとに算出した格付けは下から2番目に低い「D3」だった。累積損失が積み上がり、信用情報が傷ついていた。一方、買収を実行したフロンティアワークスの23年度業績は売上高が110億円の黒字だったようだ。22年度の黒字額は6億円だった。
横アニは前期に竹嶋えく原作の人気漫画『ささやくように恋を唄う』のアニメ化で元請けを務めたほか、25年3月からは同じく元請けを務めた『鬼人幻燈抄』が放送されている。
同社から分社し、「ささ恋」を共同制作した「クラウドハーツ」は経営難に陥り、24年に東京地裁に破産を申し立て、25年4月に解散したばかりだった。グループ会社も厳しい状況にさらされている。
横浜市南区に本社を置く元請け制作会社。代表はIGポート(スタンダード、3791)でアニメプロデューサーを務めた大上裕真氏。
2015年7月、横浜アニメーションラボとして設立。17年、『モンスターストライク』の第2期で元請けを初めて務める。本社とASAGAYA BASEに2つのスタジオを抱える。23年度(24年5月期)の単独業績は、売上高が95億円、税引き損失が92億円。従業員数は45人。
近年、人手不足からアニメ制作のコストは急上昇している。スタジオへの発注額も伴って拡大しているが、コスト増に十分追い付いておらず、スタジオが利益を削って負担する構図が長引く。