カドカワの今期、一転3割減益 アニメスタジオ「動画工房」で29億円の特別損失
【東京本局 = 東証】(プライム、コード9468、連結)カドカワは6日、26年3月期(今期)の連結純利益が前期比33%減の49億円になりそうだと発表した。5割増益の114億円を見込んだ従来予想から65億円引き下げ、一転減益となる。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(8社)の130億円も大幅に下回り、最終赤字を計上した19年3月期以来の利益水準となる。アナリスト8人の最低予想である105億円(みずほ証券、9月5日)も下回る。
昨年に連結子会社化したアニメスタジオ大手の動画工房の業績が振るわず、評価損29億9200万円を計上した。のれんの27億円もあわせて消却する。売上高は前期比トントンの2782億円に落ち込み、営業利益は38%減の103億円に沈む。配当予想は据え置き、中間15円・年30円配と前期から横ばいを計画する。

ゲーム「エルデンリング」の新作が計画を上振れて推移するが、アニメの不発を補えない。
25年4〜9月期にアニメ事業の営業利益は8億円の赤字に転落した。前年同期は36億円の黒字だった。前期にあった実写化の効果が剥落したほか新作アニメの販促が思うように進まず、業績を下押しする。膨らみ続ける制作コストの影響で作品を受注しても、放送後に回収できない状況が続く。出版事業では人件費が膨らんだほか、国内市場の不振が続いて営業利益が9割減となった。出版科学研究所によると、25年4〜6月期の国内書籍販売高(雑誌含む)は6%減だった。7、8月期も前年割れが続く。
サイバー攻撃で前年同期に赤字転落したWebサービス事業は黒字を回復した。N高など教育事業の営業利益は15%増となった。
同日発表した25年4〜9月期の連結決算は、営業利益が前年同期比47%減の55億円だった。市場予想の87億円を大きく下回った。売上高は1%減の1339億円、純利益は51%減の14億円だった。いずれも市場予想を下回った。

