X(旧Twitter)、有料化の対象を全世界に拡大か マスク氏「ボット減らす唯一の方法」
【東京総合 = テクノロジー】X(旧Twitter)は、一部の国で試験的に行われていた年1ドルの有料化テストについて、対象を全世界の新規ユーザーに拡大する方向で調整に入った。Xのプログラムコードを解析する拡張機能が検知し、マスク氏も投稿でこれを認めている。
「インプレゾンビ」などAIを利用した悪質なボットが後を絶たず、Xはクレカや電話番号などを利用した複合的な認証で対策に乗り出す。1億ユーザーが1ドル支払えば、Xにもたらされる利益は1億ドル(約150億円)になる。これを原資に、体験向上という形でユーザーに還元する。
15日、Xのウェブサイトのソースコード変更を検知するアカウント「X Updates Radar」が、新規ユーザーに返信やいいね、ブックマーク機能の利用前に少額の年間利用料の支払いを求める「Not A Bot (bot対策費用)」が全世界に拡大される可能性があるとポリシー変更の情報を元に投稿した。この方針はこれまでニュージーランドとフィリピンでのみ実施されていたが、全ユーザーに適用される可能性が出てきた。ただ投稿したり、いいねやリポストで反応しない、いわゆる「見る専」はこのプランを契約する必要はない。
電話番号とクレジットカード番号を使った認証を行い、システムに大きな負荷をかけているBotを減らす。
今まではユーザー名とメールアドレスさえあれば作成できたが、今回の施策で、例えば100アカウントbotを作る場合、電話番号とクレジットカード番号を100通り作成し、さらにそれら全ての組み合わせで支払いと認証ができる環境を用意する必要が生まれる。
Bot作成者に大きな負担を与えることでスパムアカウントの数を大きく減少させる一方で、ユーザーは$1の少額負担で済む状態を整備する。
Xのイーロン・マスクCTOはこれを報じたX News Dailyの投稿にリプライで、「偽アカウントやボットの氾濫を抑制し、良質なユーザー体験を提供するために新規ユーザーへの課金が必要不可欠」と説明。AIやツールを使った偽アカウントが「あなたはボットですか」といった確認を容易に通過できてしまうと指摘した。
また、大量の偽アカウントにより使用可能なユーザー名が奪われている問題にも言及。優良なハンドルネームが偽アカウントに使われてしまってるとも主張している。事実上、有料化の方針を認めたことになる。
実際、昨年10月にニュージーランドとフィリピンで導入された新規ユーザー課金の試験運用「Not A Bot」では、投稿や返信を行う新規アカウントに1ドル程度の料金と電話番号認証を義務付けた。Xの社員は「数年後に現れるであろう高性能なAIにVPNを組み合わせられれば手の付けようがない。今導入せざるを得なかった」と漏らしている。
ただし、すべてのボットを排除するのは困難とも述べており、減らす努力が重要との認識を示した。マイクロソフト関係者も有料化の合理性を認める一方、ユーザーの反発は避けられないとの見方を示している。(関係者の主張は前述の関連記事へ)
Xはマスクしの買収直後に当たる2022年から、認証バッジ取得のために月額8ドルの有料プランへの加入を義務付ける「Twitter Blue」を開始。今回浮上した新規ユーザー課金は、さらなる有料化の動きとして注目されている。新規ユーザーの獲得に悪影響を与えかねないが、スパムやボット対策としての効果が期待される。