X(旧Twitter)、収益分配に本人確認 インプレゾンビ対処に
【東京総合 = テクノロジー】X(旧Twitter)は、新規クリエイターの本人確認を義務化する。既存のアカウントにも7月までの本人確認を求め、従わない場合は収益分配など一部の機能を制限する。急速に数を増やす生成AIを組み合わせたBOTはシステムで検知しづらく、Xの信頼性を落とす原因になっていた。運営者本人の個人情報の確認で審査のハードルを底上げする。当サイトは2月、他社に先駆けてこれを報じていた。
31日、日本ユーザーに対してIDの確認を促す通知を出した。
Xのプログラムを監視する拡張機能が23日、検知した。収益分配の資格を申し込もうとすると、本人確認を促す文章が表示される。今日から適用が開始され、既存ユーザーにも通知機能などを使い、7月1日までの認証を完了できるよう指示する。
今までは、本人確認をしなくても表示回数ベースで米ドルの高額な収益分配を受け取ることができた。アラビア系など、平均所得が低い国々のユーザーを中心に、ChatGPTや拡張機能を使って無差別に返信したり、トレンドワードをゲリラ投稿する悪質な行為が蔓延していた。
日本でも1月の能登半島地震で、表示回数を稼ごうとしたユーザーが存在しない住所と「挟まれています。助けてください」などと投稿し、それを真に受けた利用者が消防などの行政機関に通報。現場が混乱する社会問題に発展した。津波関連の情報を伝えるアカウントに「おめでとうございます。それはとても良かったですね」などと不謹慎な内容を返信する行為が確認されるなどしたことで、一般ユーザーの間で認知が進んだ。表示回数(インプレッション)を稼ぐためにどこにでも湧くとの比喩から「インプレゾンビ」と呼ばれることもある。
Xも無策のままというわけではない。収益分配の対象のアカウントで、BOTや関連投稿を連投する場合には分配を一時停止した。併せて、今までは返信欄に表示された広告を原資にしていた収益分配について、プロフィールページに表示される広告を含めた。BOTへの一時停止で発生した資金とともに、原資を最大5倍にまで積み増巣ことで、健全なアカウントへの還元も強化した。自社の生成AIなども組み合わせ、トレンド・検索ページを根本から刷新し、インプレゾンビの駆逐に努めた。
ただ、それでも十分な効果を発揮できていない。現在もトレンドを検索した際には同じ内容の文章がずらりと並ぶ。インプレゾンビが特定のワードを抽出して、検索上位に表示されるよう工夫しているためだ。
このような背景から、本人確認の手間を加える。本人確認を完了しているユーザーには青バッヂをクリックした際に「このアカウントは本人確認を完了しています」と表示されるようにする。
機能自体は昨年から導入されていた。ただ、青バッヂの付与特典が一人歩きし、この機能に対する認知度は低いままだった。