PayPay、システム障害時でも利用可能に 相次ぐトラブル受け
【東京本局 = テクノロジー】PayPayは、大規模なシステム障害が発生した場合にもユーザーが支払いを行えるようにする取り組みを始める。同社のオフライン決済技術を活用し、PayPayのサーバーやシステムに障害が発生した場合でも、自動的にオフライン決済専用のQRコード画面を表示することで、ユーザーの支払い手段を確保する。
5月に発生した大規模障害を受けて導入が決まった。当時の障害では、一部の中継サーバーに想定を超える負荷がかかり、ユーザーが残高支払いを行えなかったり、アプリを起動できなくなったりする事態が発生した。特に昼食時間帯と重なったことで、多くの飲食店や小売店に影響を及ぼし、売上減少につながったとの声も上がっていた。
新しいオフライン決済機能では、チャージ残高または登録済みのクレジットカードを用いて支払いを行うことが可能になる。ただし、1回あたりの決済上限額は5万円、1日の利用回数は5回までと制限を設ける。システムが復旧次第、アプリのチャージ残高は更新される仕組みだ。
PayPayは2023年7月に、携帯電話の電波が弱い場所や通信障害に対応するためにオフライン決済機能を導入していた。年間取扱高は約750億円規模に達すると推定しており、地下店舗などでの支払いで一定の成果を上げていた。しかし、これまでは自社システムの障害は想定していなかった。
現在、PayPayは6500万人を超えるユーザーを抱え、日常生活に欠かせない存在だ。一部のバス会社ではSuicaなどの交通系ICの代わりにPayPayを導入したところもある。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会の公表データによると、QRコードを利用したスマートフォン決済の回数は2023年に93億回を記録し、前年比で3割増加している。100億回の大台も視野に入るなど、キャッシュレス決済の普及が加速している。