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日経平均、4万円台 「半導体一本足打法」再び

namiten

【東京本局 = 東証】(プライム、コード101/T、前引け)27日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、午前は前日比で630円(1.5%)高い4万215円36銭まで上昇して終えた。心理的節目の4万円台を回復するのは、1月27日以来5ヶ月ぶり。同月7日につけた年初来高値の4万83円も上回っている。

このところの急ピッチの株高を演出したのは半導体関連株だ。今日の上げの2割も東エレクで説明できる。同銘柄は前引け時点で日経平均を145円程度押し上げている。アドバンテストは4月7日に5000円を割り込んだが、6月に入って1万円を回復、前日には上場来高値を更新するなど、AI相場が再点火している。

つまり、ここ数日間で日経平均ほどのパフォーマンスを実現できた銘柄が多いわけではない。米国が近く政策金利の引き下げに踏み切るとの見方からハイテク株が上昇している。NASDAQ総合指数は前日に最高値を更新した。景気敏感株にとって利下げ観測の強まりは追い風となる。ハイテク株の寄与度が高い日経平均の上昇もこれによるところが大きい。

日経平均が、東証株価指数(TOPIX)の何倍かを表す指標である「NT倍率」は今月に入って大きく切り上がった。前日には14倍を超え、今日も上昇している。2月以来の高倍率となった。ここ1年間の動向を示す52週平均線は14.06倍で、これを上回った。

基本的にNT倍率は上昇と下降のトレンドを4〜6ヶ月程度のスパンで繰り返す。ここ3年間は13.8倍〜14.5倍のレンジを行き来していた。今年は1月から下降トレンドに転換したのだが、トランプ関税もあって3月に13.5倍まで低下してしまった。コロナショック最中の20年春以来の水準で「下げすぎ」の状態にあった。

すなわち、ここ2ヶ月間の状況がそもそもイレギュラーであり、最近のNT倍率の急上昇は「上昇トレンド」への転換と、下がりすぎていた日経平均(AI関連株)がTOPIXに追いつこうとする反動が重なった可能性がある。

仮にレンジの下限が今回から切り下がったのだとしても、4月半ばからの上昇トレンドを踏まえれば、経験則的には今後1ヶ月は日経平均がTOPIXに対して相対的に優位な状況が続く可能性がある。

もっとも、市場では上昇余地はそこまで大きくないとの見方が大勢だ。市場関係者は「今週の突発的な株高は短期の海外筋による先物買いによるものであって、長続きしない」と解説する。ハイテク株は急上昇で投資妙味が徐々に薄れており、世界の半導体関連株に弱い材料が投下されれば、ここ数年間、何度も経験したAI相場の「雪崩れ」に迫られる可能性もある。

日経平均株価のPERは前引け時点で15.9倍だった。S&P500の23倍台と比べれば割安感はあるが、目安とされる15倍からは上離れつつある。来月にはトランプ関税の再開も迫り、日米両政府の交渉も瀬戸際を迎えている。ひとたびトランプ関税が再開されてしまえば、TOPIXで大きな影響力を持つ時価総額の大きい輸出関連株すら総崩れになる可能性もある。先行きの不透明感が拭えない中での「買いが買いを呼ぶ」「持たざるリスク」マインドの膨らみは、波乱の火種となるかもしれない。

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