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ティラド——ついに「データセンタ」明記 新TOPIX継続採用への意欲確認でき、マルチプル拡大に期待

namiten

[希望者向けに詳細版・グラフ等を掲載した拡張版を配信しています]

【東京本局 = 東証】(プライム、コード7236、連結)ティラドは27日、27年3月期(今期)の連結純利益が前期比2%増の90億円になりそうだと発表した。3期連続で最高益を更新する。売上高は同微増の1630億円、営業利益は4%増の117億円になる見通し。

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決算フラッシュ

同社は減益ガイダンススタートとなることが多い分、増益見通しの開示自体が一定のサプライズになり得る。

なお、前期純利益88億円には投資有価証券売却益等の一時要因が約7億円含まれており、これを除いた実質ベースでは前々期43億円→前期81億円と概ね倍増している計算だ。今期予想はこの一時要因を吸収してなお増益というシナリオであり、ガイダンスの保守性はむしろ限定的、地に足のついた実力反映の水準と評価できる。

また同日、前期の期末配当を240円増額・今期も240円増を計画し、年800円にすると発表している。配当利回りは27日終値ベースで9.8%と、プライム市場のそれでトップをまん喫することとなり、大きなサプライズだ。前回レポートではこれ以上の自社株買いが流動制約から難しく、新TOPIXの継続採用に向けては大幅な増配に手段が限られると述べたが、当サイトの予想(年550円配)をも上回る結果となった。

なお、新TOPIXの継続採用のボーダーは1万2800円前後(1月末時点)と当サイトでは試算している。この水準であっても、会社ベースの予想PERは8倍前後にとどまる。昨年後半の水準であり、割高感はもってのほか、割安感すらある。同様に配当利回りをみても、この水準でなお6%超であり、割高感はない。

大幅な増配でTOPIX継続に向けた経営陣の意思が明確に確認できたことは、今回の決算で最もポジティブな点であろう。また累進配当とし、ROE20%の目標を新たに設定した。中期経営計画によれば、どうやら2030年時点で1400円の配当を目指しているようだ。一定のディスカウントを呼んでいたため、この点でもマルチプルの拡大は許容されよう。

注目要因

当サイトとして強調しておきたいのが、米国事業の利益貢献である。米国セグメントは前期5億円の赤字から今期に5億円の黒字と、11億円の収益改善を達成した。これは連結営業利益増加分(約39億円)のおよそ3割を占める水準で、25年度においては米国が明確に利益を押し上げている。

会社側は「生産移管プロジェクト進捗による生産性向上」と説明しているが、要は前工程を日本・ASEANで製造して半製品を米国に輸出、米国は後工程のみとする生産分業の効果が顕在化した形だ。米国事業はようやく「お荷物」フェーズを脱して収益貢献フェーズに入ったことになり、過去のレポートで当サイトが懸念点として指摘してきた要素が、完全に解消されたと整理してよい。

多機能Radの世界受注も改めて点検しておくと、受注決定済みベースでは日本20万台、北米13万台、中国16万台、ASEAN・インド10万台にとどまるが、拡大見込みベースでは日本300万台、北米150万台、中国100万台、欧州40万台、ASEAN・インド20万台と、現状の数十倍規模のポテンシャルが控える。これに呼応する形で、米ケンタッキー州工場拡張、欧州チェコ拡張、国内サテライト工場新設、秦野新工場(26年2月稼働済)の4つが同時並行で動いている。

2030年度をメドに「売上2000億円」を目標とする中計は、こうした受注パイプラインを背景にした目線であり、達成可能性は意外に高いと当サイトでは見ている。

そして当サイトが今回最も注目したいのが、AI・データセンター向けの新事業展開である。中期経営計画ではデータセンター/AI関連、ヒューマノイド、宇宙関連を明記した。

同社はラジエータの設計で世界最高レベルの製造技術を有し、CAEを活用した試作レス開発体制も確立済みだ。AIサーバーの発熱密度上昇に伴い、データセンター冷却市場は液冷シフトを軸に今後数年で爆発的な拡大が見込まれており、同社の保有技術はこの用途と極めて相性が良い。

自動車向けで培ったノウハウがそのまま転用可能であり、参入障壁の高い分野で先行者利益を取りに行ける可能性は十分にある。

現時点では市場調査にとどまっており、売上貢献は遠い未来になると思われるが、仮にハイパースケーラーや国内クラウド事業者との大型案件が動き出せば、銘柄性格そのものが「自動車部品」から「AIインフラ関連」へと再評価される余地がある。足元の市場環境ではひとたびAI銘柄ともてはやされれば、急速にマルチプルが拡大するきらいがある。

当サイトとしては、本決算で示された新事業領域のラインナップのなかで、最も化ける可能性のある領域として、引き続きウォッチしていく。

新規事業ではこのほか、製造業向けのSaaS「ティラドコネクト」が2025年9月に電通総研と代理店契約を締結している。2025年実績で顧客3社・引合3社と数字としては小さいが、本業の波動を相殺する役割が期待される。

加えて、連結数字では見えにくいインド事業の存在も、評価に織り込んでおきたい。データセンター・米国黒字化と並ぶ成長エンジンとして位置づけたい。

なお、会社予想は当サイト予想(希望者向けに掲載)を下回っているが、米イランの軍事衝突を踏まえれば保守的な水準にあると考えている。

投資判断

当サイトでは、ティラドにおいては要件(希望者向けに掲載)を満たしていないから、従来から目標株価を定めず、9000円以下での「買い推奨」に留めていたが、今回の決算で要件を満たす確度が極めて高まったため設定することとした。

目標株価を検討してみると、DOEが8%の水準、ROE16%であるにも関わらずPBR1倍未満というのは、明らかに割安である。そもそも配当利回りが9%超の今期であっても、配当性向は50%と健全な水準だ。近年東証で増えている無理な配当性向の引き上げを必ずしも伴わない。

加えて、これまでに検討した要素を積み上げれば、現状株価はさすがに看過できない。利益成長に対して市場の評価が完全に追いついていないと言えよう。

もっとも、世界情勢の不透明要因が与える影響は部品メーカーのバリュエーションを縮小させる。以上を踏まえれば、目標株価は1万5000円とする(会社予想ベースでPER9倍。希望者向けの拡張版で記載している当サイト予想をもとに算出しています)。ただし、来期以降の増益を織り込んだ水準では無い。

30年度の純利益160億円・想定1株益2800円のシナリオが視野に入れば、目標株価ベースでもなおPER5倍と極めて控えめな織り込みにとどまる計算だ。AI関連銘柄として評価されれば、株価は大化けも狙える。

レーティング

なお、市場評価が3ヶ月以内にこれ以上高まるとは考えられないから、PER9倍の保守的な水準としている。そのため、定期的な目標株価の変更を考えており、現時点では次第に増額する方向だ。

急速な利益成長や配当を踏まえれば、現在の株価水準は整合的な水準に達しておらず、中長期的に極めて豊富な投資機会にあると当サイトは考えている。よって、目標株価を新規に1万5000円とし、足元を15%以上上回っていることから目先3ヶ月の投資判断は3段階で最上位の「買い」とする。今後は極めて高い確率で漸次目標株価の切り上がりを見込めることから、トップピックの「買い推奨」も継続する。

リスク要因としては、米関税政策の再激化、中国セグメントの売上減速、円安修正に伴う海外売上の目減り、生産拠点拡張に伴う減価償却費(2025年度57億円→2030年80億円)等を挙げておきたい。ただし自己資本比率53.2%(前期49.9%)と財務余力は十分であり、これらリスクが顕在化しても投資ストーリーを覆す水準にはない、と当サイトは考えている。

お断り

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